雨傘/掌の小説
院長が何かの現代文の問題を解いているときに出会った作品。本文を読んでその甘酸っぱいような感覚を覚え、すぐに出展を確認し本屋で買い求めた。
この文庫本には122編の短編小説が納められている。その1編1編がとても読み応えのある物語であった。
その中でこの「雨傘」は、主人公の少年が父の転任で離ればなれとなってしまう前に、初恋相手の少女と一緒に記念写真を撮りに行く物語。霧のような春雨の降る中、記念写真を撮りに写真館に向かう際は恥ずかしい気持ちがいっぱいで少年は少女のからだ半分しか傘に入れて上げることが出来ない。しかし二人はからだを寄せ合うように並んで写真を撮ったことで二人の気持ちが一気に接近し、帰る際には二人が寄り添って歩き、夫婦のような気持ちになって帰っていく。少年の少女を想う気持ち、少女の仕草一つ一つがとても切なくて甘酸っぱい気持ちにさせられる名作。
(院長)
