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  • 雨傘/掌の小説

    雨傘/掌の小説

    川端康成/新潮文庫

    推奨コメント

    院長が何かの現代文の問題を解いているときに出会った作品。本文を読んでその甘酸っぱいような感覚を覚え、すぐに出展を確認し本屋で買い求めた。

    この文庫本には122編の短編小説が納められている。その1編1編がとても読み応えのある物語であった。

    その中でこの「雨傘」は、主人公の少年が父の転任で離ればなれとなってしまう前に、初恋相手の少女と一緒に記念写真を撮りに行く物語。霧のような春雨の降る中、記念写真を撮りに写真館に向かう際は恥ずかしい気持ちがいっぱいで少年は少女のからだ半分しか傘に入れて上げることが出来ない。しかし二人はからだを寄せ合うように並んで写真を撮ったことで二人の気持ちが一気に接近し、帰る際には二人が寄り添って歩き、夫婦のような気持ちになって帰っていく。少年の少女を想う気持ち、少女の仕草一つ一つがとても切なくて甘酸っぱい気持ちにさせられる名作。

    (院長)

  • よだかの星

    よだかの星

    宮沢賢治 /偕成社

    推奨コメント

    宮沢賢治の童話からの第2弾。「よだかの星」。

    「夜鷹」はとても醜い外見をしていたが、飛び方や鳴き声が鷹に似ていていることからそう名付けられた。しかし「鷹」と名乗ることで本物の鷹から疎まれ、ついには「市蔵」と言う名に改名を迫られる。そして、改名したことを家々を回って告げて歩かなければならない、さもなければとつかみ殺してしまうと脅迫を受ける。しかしよだかにとってはこの様な屈辱を受けるくらいであれば「死」を選ぶ選択をする。日頃、たくさんの羽虫や昆虫のいのちを奪うことによって生きているよだかにとって、鷹に虐められたくらいで死を選ぼうとする自分の矛盾に苦しむことになる。

    つまり、この物語は賢治の「自分がほかの生き物のいのちを奪うことでこの世に生きている」ことの苦しみそのものを著した作品であり、あらゆる生き物を尊重し、そして「いのちを大切に思う」賢治の優しさが感じられる作品でもある。

    (院長)

     

  • ぐりとぐら

    ぐりとぐら

    なかがわ りえこ/福音館書店

    推奨コメント

    今回は前回と一転、誰もが一度は読んだことがある名作、ぐりとぐら。紹介をするまでも無いであろう。

    仲良しの野ねずみのぐりとぐら。二匹は双子で料理が得意。ある日森で大きな卵を見つけ、大きな大きなカステラを作りました。その良いにおいにつられて色々な動物たちも集まり、みんなと仲良くカステラを食べると言うお話。この本を読んだ人であれば誰でも、「自分も美味しそうなカステラを食べたい」と思ったことでしょう。

    院長もです(笑)。

    (院長)

  • 竜馬がゆく

    竜馬がゆく

    司馬遼太郎/文藝春秋社

    推奨コメント

    今回はお子さまよりは少し上の年齢の方への紹介です。司馬遼太郎も院長の好きな作家の一人であり、坂本龍馬の大ファンとなるきっかけとなった作品であり、院長の「坂本龍馬」の人物像はほぼこの本によって形成されたと言っても過言では無い。ちなみに院長は、学生時代に大変なテスト前になると、この本を読んでよく現実逃避をしていたのであった(笑)。

    「竜馬がゆく」はあくまでもフィクションであり、いわゆる「薩長同盟」などもどこまで関与していたかなどは史実と異なる面もあるのでは?といわれているが、そこは「龍馬」ではなく「竜馬」とした司馬遼太郎なりの想いがあったのかも知れない。文庫本で8冊分の超長編だがはっきり言って面白い。活字離れが言われている昨今、大人の方にも是非おすすめである。

    (院長)

  • 次郎物語

    次郎物語

    下村湖人/新潮文庫

    推奨コメント

    院長が小説が好きになるきっかけとなった一冊。

    幼い頃に里子に出され、その後ほど無くして実家に戻されることとなった。その後の次郎に降りかかる様々な出来事を通して次郎が成長する姿を描く長編大作。

    また、里子には出されたもののやがて実家に戻されることとなるが、実家の病弱な母から受ける無償の愛と、死を通しての感受性の変化などへの心理描写がとても細かく丁寧に書かれている。長編だが、一気に読めてしまう。

    (院長)

  • グスコーブドリの伝記 宮沢賢治

    グスコーブドリの伝記 宮沢賢治

    宮沢賢治/青空文庫

    推奨コメント

    院長が最も好きな童話作家、宮沢賢治の作品。イーハトーブという理想郷を舞台にしたブドリの生涯を描いた作品。イーハトーブの森に住む幼いブドリは、ある年厳しい冷害と飢饉に見舞われます。そのことが原因で家族がバラバラとなり、ブドリは一人森に取り残されてしまいます。その後ブドリは懸命に努力し、勉強に励み、火山局の技師となります。火山局は火山の活動を制御しながらイーハトーブの人々の暮らしを守っていきます。しかしブドリ達の努力もむなしく、ある年イーハトーブを再び厳しい冷害が襲います。そこでジブリは火山を意図的に爆発させ、その影響でイーハトーブを温暖化させるという案を思いつきます。しかしこの案を実行するためには誰か一人が火山に残こらなければならないという、自己犠牲のお話です。

    賢治の自然への畏敬の念、ひたむきさ、そして何よりも人間的な優しさが感じられる作品です。

    (院長)

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